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読んでおきたいこの100冊   

2013年 07月 31日
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読んでおきたいこの100冊_d0114841_23294426.jpg芥川の事ども
著者:菊池寛

小説家で文藝春秋社を創設した編集者でもある菊池寛は、芥川龍之介と第一高等学校からの知己であった。現世的な生活力を持った菊池とは真逆の、潔癖性をもった芥川。その自殺に、あまりに、都会人らしい品のよい辛抱をつづけすぎたのだと、なかば憤慨して書き綴る菊池寛。故人の業績を記念して、1935年、芥川龍之介賞は創設された。


読んでおきたいこの100冊_d0114841_2333617.jpg恩讐の彼方に
著者:菊池寛

市九郎は旗本の愛妾との恋をとがめられ、とっさに旗本を殺して女と逃げる。しかし女の強欲と己の罪深さを知った市九郎は出家し滅罪のために全国行脚の旅に出た。その道中、何人もが命を落としたという断崖の道をみて絶壁をくりぬくことを思い付く。約三十年間掘り進め、成就したその傍らには仇討ちに来た旗本の長男もあった。喜んで斬られるという市九郎を必死でかばう石工たち。ひたすら掘り進める市九郎の姿に敵討ちは…。

読んでおきたいこの100冊_d0114841_23363183.jpg父帰る
著者:菊池寛

家を出て行った父親が、二十年後のある日、年老いて帰ってくる。飄々としたその様子に、長兄はかつての父親の仕打ちを思い出し、激しく憤って追い出そうとする。しかし父親を記憶していない弟妹と弱った母は、父親に同情する。その家族を見てますます長兄は苛立ちを隠さず父をののしる。お前らは父親のない苦労を忘れたのか。俺に父親があるとしたら、それは俺の敵じゃ。父は肩を落として静かに立ち去るが…。

読んでおきたいこの100冊_d0114841_2340132.png阿部一族
著者:森鴎外

肥後の藩主・細川忠利の病死に際し、恩を受けた18人の藩士が殉死する。しかし、当然殉死するはずの阿部弥一右衛門だけは殉死の許可を得ることができず、生き残って新しい藩主に奉公していた。しかし、生命を惜しんでいるように見る家中の露骨な視線に堪えきれず、自分の死後、自分の行動や残されたものへの非難を覚悟の上で弥一右衛門は腹を切る。そこから、残された一族は、抗えない運命に流されていく。

読んでおきたいこの100冊_d0114841_23424888.pngヰタ・セクスアリス
著者:森鴎外

哲学者・金井湛は自身の性欲の目ざめからその発展を小説にしてみようと思い立つ。恋愛と性欲は密接な関係こそあれど同一のものではない。性欲は自分からは遠いものだという金井が、自身を淡々と観察しながら性欲の自分史を書き綴った。しかし、書き終えた小説を読み返した金井は、表紙に「ヰタ・セクスアリス」=性欲的生活と記すと、誰にも読ませることなく本棚に投げ込んでしまうのだった。

読んでおきたいこの100冊_d0114841_23441169.png高瀬舟
著者:森鴎外

京都の罪人を遠島に送るために、京都町奉行所の同心が船を漕いで高瀬川を下る。そこへ弟を殺した喜助という男が乗せられた。同心は、喜助の遊山船にでも乗っているかのような晴れやかな顔を不審に思う。男は弟を殺したのだそうだが、世にも稀な悪人であろうか。どうもそうは思われない。ひょっとして気でも狂っているのでは?

by wanaseikatu | 2013-07-31 23:27 |